国税庁が雑所得の範囲の明確化を示す

更新日: 2022/09/21

(1)内容

   2022年8月1日、国税庁から「雑所得の範囲の明確化」という基本通達に関する改正案の意見募集

  が発表されました。

   個人の所得税における事業所得と業務に係る雑所得の判定について、「その所得を得るための

  活動が、社会通念上、事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定をする。ただし、

  主たる収入でない300万円以下の収入(例えば、会社員の副業など)は、特に反証がない限り、

  事業所得ではなく雑所得」として取り扱うこととなります。

   今回は法律ではなく通達(法律をどう解釈・運用するかの指針となるもの)の改正案であり、

  あくまで判断基準の1つです。

 

(2)改正案の背景

   近年、一般の消費者がモノや場所・スキルなどを人に提供したり共有したりする新しい経済

  活動の動きや副業の申告が増えています。これらの所得については、所得区分の判定が難しいと

  いった課題がありました。

 

(3)改正案による影響

   事業所得と雑所得とでは税金の取り扱いが異なります。事業所得であれば、「他の所得との

  損益通算」が認められていること、また、事業所得で青色申告の場合には、「青色申告特別

  控除」「損失の3年間繰越」の制度があります。

   例えば「他の所得との損益通算」を利用して、会社員が副業を事業所得として赤字で申告し、

  給与所得と相殺することで所得税の還付を受ける、といった行きすぎた節税を規制するために

  改正案が示されたものと考えられます。

 

(4)適用時期

    法改正が行われた場合、2022年分以後の所得税について適用されます。