今年と来年の税制改正に注目

更新日: 2008/08/01

大企業優遇税制の是正を

後期高齢者医療制度で社会保障制度が揺れています。高齢者増加による財源増加をまかなうため増税が必要と云いたいのでしょう。2009年度の税制改革に向けた論議が始まりました。例年より4ヶ月早い取り組みと言われています。もちろん、消費税がメインでしょう。

社会保障財源のため消費税を増税しようとするのでしょうが、空前の利益を上げる財界にこれ以上の減税の必要があるのでしょうか。税の本来のあり方は「応能負担」の原則です。

例えば、トヨタ自動車は空前の利益を上げていながら、輸出割戻し税は1710億円(2003年度、関東学院大学法科大学院 湖東教授)です。日本経団連の御手洗会長は「今年こそ税制抜本改革が前進するのではないかと期待している」と発言しています。福田首相は「決断のとき」と応じています。財界の本音は「法人税の実行税率を30%にしろ」でしょう。それでなくとも、トヨタ自動車1社で研究開発減税、外国税額控除、受取配当金益金不算入で1900億円の減税を受けています。厚かましいにも程があります。

今年は消費税増税の年となりそうです。我々は大企業減税の是正を求めます。大企業・大資産家への行き過ぎた減税を是正して所得再配分の仕組みを抜本的に変える必要があります。

相続税の仕組みが変わる

中小企業の納税猶予制度創設とともに、現行の相続税の課税方法について大幅な見直しが検討されています。即ち、納税猶予制度創設のほか現行の「法定相続分課税方式」から「遺産取得課税方式」や「遺産課税方式」へ見直すとされています。

遺産取得課税方式とは、相続等により遺産を取得したものを納税義務者として、その者が取得した遺産を課税物件として課税する方式です。この方式は各相続人ごとに相続した財産の価額に各々超過累進税率が適用されるため、富の集中化の抑制に大きく貢献し、取得者の税負担の公平が期待出来るという特徴があるとされています。

遺産課税方式とは、遺産全体を課税物件として、たとえば遺言執行者を納税義務者として課税する方式です。この方式は被相続人の遺産に焦点をあて、死亡した者の所得税を補完する意義があるとされています。

平成19年11月の税制調査会がこの現行課税方式の見直しにふれており、かつ配偶者の税額軽減制度や基礎控除の見直しや小規模宅地等の特例の見直しにもふれています。

基礎控除の定額控除5千万円と法定相続人1人1千万円は、半分くらいになるものと考えられます。20年以上の我が国の土地の下落を考えるとこの当たりの数字になるのでしょうか。現に、相続税の納税者の人口比率は8%から4%に下がっているのです。