インボイス制度開始後の免税事業者との取引

更新日: 2023/10/02

(1)概要

   10月1日からインボイス制度開始により、課税事業者が仕入税額控除を行うには「適格請求書発行

  事業者」(以下「インボイス発行事業者」といいます)が交付する「適格請求書等」(以下「インボ

  イス」といいます)と帳簿の保存が必要となります。インボイスの交付ができるのは、インボイス制

  度の登録を受けた課税事業者に限られます。

 

(2)インボイス制度開始による影響

   インボイス制度の対応で、課税事業者がまずやるべきことは、取引先がインボイス発行事業者かど

  うかを確認することです。課税事業者が簡易課税制度を選択している場合は、インボイスを保存しな

  くても、仕入税額控除を行うことができます。しかし、簡易課税制度を選択していない消費税の本則

  課税の事業者が、免税事業者から仕入れをする場合、インボイス制度開始後は原則、仕入税額控除が

  できなくなります。

 

(3)免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置

    取引先が免税事業者であったとしても、6年間は、一定割合を仕入税額控除ができる経過措置が設

   けられています。インボイス制度開始から3年間は仕入税額相当額の8割、令和8年10月1日から3年間

     は5割、合計6年間は免税事業者からの仕入れも、仕入税額控除ができることとされています。

 

(4)独占禁止法違反行為の注意

    課税事業者と免税事業者間において、免税事業者に対して課税事業者になることを要請すること

  は問題ありません。しかし、登録事業者にならないことで一方的に取引価格を引き下げることや、取

    引を打ち切るなどは、独占禁止法上問題となる可能性があるほか、下請法や建築業法違反となる可能

    性もあります。課税事業者は、免税事業者と慎重に協議を行う必要があります。