相続時精算課税に係る基礎控除の創設

更新日: 2023/08/31

(1)概要

  贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する  

 場合に「相続時精算課税」を選択することができます。

  令和5年度税制改正において、2つの制度について見直しが行われました。今回は「相続時精算課

 税」の改正内容についてご紹介します。(「暦年課税」の改正内容は「税務&会計トピックス 相続前贈与の加算期間の見直し」参照)

 

(2)相続時精算課税とは

  60歳以上の父母または祖父母などから18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合にお

 いて選択できる贈与税の制度です。贈与したときは累積2,500万円までが非課税となり、2,500万円を 

 超えた部分は一律20%の税額となります。

  ただし、贈与者の相続発生時には、その累積贈与財産の価額(贈与時の時価)を相続財産の価額に

 加算(精算)して相続税を計算することになります。

  なお、この制度を選択すると、その贈与者から受ける財産については、暦年課税へ変更することが

 できないため、留意が必要です。

 

(3)改正点

  贈与があった年分の贈与税について、暦年課税の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控

 除額110万円が毎年控除されます。

  また、贈与者の相続発生時における、相続財産に加算される贈与財産の価額は、基礎控除額を控除

 した後の残額とされます。

  よって、年110万までの贈与である場合には、相続発生時に加算されず、贈与税の申告も必要ありま 

 せん。

 

(4)適用時期

  令和6年1月1日以後に受けた贈与について適用されます。